トラキア人のゲタイ族

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トラキア人の中で最も勇敢かつ正義心の強い部族であるゲタイ族
彼らが霊魂の不滅を信じる方法はこうだ。
彼らは自分たちが死滅するとは考えず、死亡したものは神霊サルモクシスの許へ行くと信じている。
五年目ごとにくじを引き、くじの当たった者に、その時々の願い事を言伝て、サルモクシスの許へ使者として送る。
その送り方だが、その役に当たっている者たちが三本の投槍を構えていると、別のもの達がサルモクシスの許へ送られる男の手と足を両側からとらえて振り、宙に放って槍の穂先めがけて投げる。
男が槍に突かれて死んだら、神が彼らに行為を持ったと考える。
その男が死ななければ、その使者が悪人であるといってその罪を問い、その上でまた別の人間を送る。願い事の伝達はその人間の生存中に行う。