残酷だね、スキタイ人

中巻p44
スキタイ人は、アレスに対しては獣の他に人間も犠牲を捧げる。
戦争で生け捕りにした捕虜のうちから100人に1人の割合で選ばれた犠牲者は
頭に酒をふりかけられてから、喉を切り裂かれ血を器に受けられる。
その器を山の上に持っていって短剣にかける。
山の上に持っていく一方で下方の聖所では以下のような儀式が行われる。
屠られた男たちの右肩をことごとく腕ごと切り離して空中に放り上げ、その他の犠牲の行事を済ませてから立ち去っていく。後には腕は落下したところに、動態は別の場所にそれぞれ横たわっている。


戦争では、最初に倒した敵の血を飲む。また、戦闘で殺した敵兵の首はすべて王の元へ持参する。さもなくば収穫物の分配にありつけない。
また、スキタイ人は首の皮を剥ぎ取る。まず耳のあたりで丸く刃物を入れ、首をつかんで揺すぶり、頭皮と頭蓋骨を離す。次に牛の頭蓋骨を用いて皮から肉をそぎ落とし、手でもんで柔軟にすると一種の手巾ができる。
それを自分の乗馬の馬勒にかける。この手巾を一番多く所有するものが最大の勇士とされる。
穿いだ皮を縫い合わせて上衣を作ったり、右腕の皮を爪ごと剥いで矢筒の被いを作る物も多い。
首そのものの扱いだが、最も憎い敵の首だけだが、まゆから下を鋸で切り落とし、残りを綺麗に掃除する。
貧しいものは外側に牛の生皮を張ってそのまま、金持ちは牛の生皮をかぶせて、内側に黄金を張って杯として用いる。
身内の間に争いが起こり、王の前で相手を負かした場合もその首を同じように扱う。大切な来客があると、この頭蓋骨を見せて、近親であった自分に争いを仕掛けたので打倒したのだと自慢する。