アマゾンの恋

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ギリシャ人は、テルモドン河畔の戦闘で捕らえたアマゾンを三隻の船に乗せて引き上げた。
しかし捕まったアマゾン達は海上で男たちを皆殺しにしてしまった。
船を知らないアマゾンは舵を使うこともできず、漂流してしまった。
流れ着いたのはクムイノイ。自由なスキタイ人の領域である。
降り立ったアマゾン達は人家のある方へ向かい、馬の群れを見つけ略奪した。
そして騎馬でスキタイ人の持ち物を奪い始めた。


スキタイ人は初め、何が起こったのかわからなかった。言葉も服装も違う民族がどこからやってきたのだろうか。
アマゾン達を若い男たちだとおもったスキタイ人は、戦いを仕掛けてはじめてアマゾンが女性だと知った。
スキタイ人はアマゾンを殺さぬように協議し、一番年の若い男たちをアマゾンと同じ人数だけ彼女らに仕向けた。
アマゾンの近くで野営し、アマゾンと全く同じことをするようにした。アマゾンが追ってくると戦わずに逃げ、それが止まるとまた戻ってきて近くに野営する。
お互いに敵意がないことに気づくと、次第に双方の野営地は接近していった。

午後になるとアマゾン達は一人ないし二人でばらばらになってお互い遠く離れて排便する。
スキタイ人はこれを真似し、一人が独りになったアマゾンに近づいた。
女は拒まず男のするままにした。言葉は通じないが、ジェスチャーで意思疎通し、お互いの部族は野営地をあわせて一緒に住んだ。
男は女の言葉を理解できなかったが、女は男たちの言葉を覚えた。
男たちは女を誘って国へ帰ろうとしたが、女たちは習慣の違いからそれを拒み、財産の半分を受け取って土地をさる事を提案した。
そして彼らはタイナス河をわたり、マイオティス湖から北へ3日進んだ位置へ移り住んだ。